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Palu被災現地レポート2018 ②

MLA被災調査と橋渡し役

  パル市内中心部は機能回復も表面的ながら進み、野外市場の商品も増えてきて、食堂の仮営業もポツリポツリと増えてきている。心配した移動に不可欠のガソリン給油も順調で量の制限は無い。何カ所かの給油所では、武装警官が給油業務を行っていた。 いくつかの学校が16日から再開を始めた。
 
  とは申せ、電気の復旧していない地域、水道の復旧していない地域は多い。地震や津波、液状化で住居や財産をすべて失った方々は膨大な数にのぼる。救援物資の配給も官民で行われているようだが、窮状を聞く。アチェやレイテ島支援で目にした国連支援機関の活動は間もなく始まる予定とされ、始まっていない。15日段階の公式に登録した支援団体は15だと教えてくれたが、提示されたリストでは日本からの緊急援助隊を除く団体の活動は定かではなかった。

  かっては湿地帯だったところを1980年代頃から広域で宅地化し、今回の大規模液状化被害となったと聞く。それとパルの中心街をつらぬく1000kmもの長さのプレートのズレとの複合的被害も起こっているのかもしれない。液状化地域では未だ数千人が救出出来ず、そのままどなった、とされる。

  巨大災害被災地では、積極的に窮状や復興ビジョンを個人的或いは協力して組織的に表明する地域があり、逆に窮状を内にしまい「大丈夫、大丈夫」と応え、組織化が苦手な地域もある。今回の中部スラウェシは後者のように思える。

  MLAとは、東日本大震災後に日本で進んだM=museum、L=librsry、A=archivesを連携させユニットとして被害状況をとらえ、支援していこうとした動きだ。インドネシアでもアチェの災害直後からの日本の「五人委員会支援声明」などにより連携する機運が浸透した。今時の災害では国立公文書館が先遣調査チームtask force teamを10月8~11日に派遣し11箇所の機関の被害状況を報告している  
  その調査に含まれていない州立博物館、3つの地方新聞社、州立病院、タドラコ大学などを16日時点で坂本が訪問調査補完した。州立博物館展示エリアは14日の調査で被害軽微で安堵していたが、15日の調査で収蔵庫の陶磁器を置いていた棚の殆どが倒れ収蔵品の75%程が画像のように粉々に破損した。
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  今後の被災収蔵品回収と修復の作業効率を考え丈夫なプラスチック・ボックスを市内で探したが、入手困難とのことで、坂本のネットワークでPaperina社倉庫にあるオリコン在庫を確認した。早急にジャカルタTextile博物館に移送し、パルへ第一次として50boxesの輸送を行う予定である。
輸送費用を至急工面せねばならず困っている。もし志ある個人、団体があれば奈良の「NPO書物の歴史と修復研究会」へ連絡いただければ有り難い。

  ここでは多くの時間を救助・復旧を担うであろう方々との対話、情報提供に努めている。
  日本側JICAなどが、今後の復旧・復興プラン策定に大きく関与する事が決まったことから、パル州立博物館副館長の神戸・人と防災未来センターの見学研修プログラム参加、地元新聞Radar Sulteng若手記者を東北の地方新聞社、震災遺構、防災体験施設等へ招く機会を作り、地元に根ざす人材育成にも目を向け、支援を期待したい。
 
  スマホでの制約の多い投稿作業のため、画像はジャカルタに戻ってから補いたい。  パル州立博物館にて (Senior Paper Conservator Sakamoto)

*本稿は2018.10.23JKTにてタイトル変更、画像追加などを行った。


by PHILIA-kyoto | 2018-10-17 07:51 | 中部スラウェシ地震・津波・液状化災害20  

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