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樹皮布と樹皮紙の世界各地への伝播

樹皮布&樹皮紙はどのように世界に広がったか?

  樹皮紙のお姉さんとして先に生まれた樹皮布は、赤道ベルト地帯を主にして世界中に存在が確認されている。 これまでに国内の染織や民族芸術の分野の方々によりいくつもの先行研究があるが、そのいずれも「古代に起源」があることは言及されているが具体的な時期についての言及はなく、伝播ルートの探求は研究者の関心の地域内に限定されていた。
  欧米では1944年にN.Y.でVon Hagenによって以下のような伝播マップが発表されたが、近年の考古学などの最新調査研究成果を加えて、見直す時期にきている。特に、世界に多種、多様なタイプの存在が知られる樹皮布/樹皮紙製作用の道具(ビーター)がある中で、「形状と透かし模様加工の技法」が「ウリ二つ」のインドネシア・スラウェシと新大陸メキシコとの関係はHagenのマップにはまったく表記されていない。
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  これまでの筆記者の調査研究から、ひとつの大きな世界的な樹皮布伝播の波は、今から6000年ほど前の新石器時代に、中国南部から台湾を源流とするオーストロネシア語族により、インドネシア、ベトナム、太平洋諸島、マダガスカル島など広範囲に数千年の時間をかけて世界各地に広がったのは確かだろう。彼らが使った樹皮布製作用のビーターは石製のバトン型からラケット型に移行発展していくようだが、素材の石が十分に確保できない場所では木製のバトン型ビーターが使われた。世界各地で使用される原料の樹皮はカジノキ属などを含むクワ科のものが全てと言っても過言ではないだろう。
  しかし、世界各地に広がった樹皮布/樹皮紙製作の文化の伝播ルートのナゾを解明するのは至難f0148999_951820.jpgのことだ。なぜなら、インドネシアで収集した各種ビーターの右側の写真を見るだけでも、その多様さがあり、現段階では技術史の観点から相関関係を見出せるものではない。
  
  とは言え、筆記者らの挑戦は続き、明らかになってきた部分的な情報を五感で見つけ、突き合わせ、重ねていくと徐々に何かが見えてくる。
  樹皮を叩き伸ばす道具ビーターの素材としては、世界を見回すと石製か木製のものが圧倒的だ。そのような一般的な傾向の中で、おそらく特別の用途のために牙や角が使われる事例があるようだ。
  アフリカ地域研究を行われてきた市川光男氏のコンゴ・ムバティの調査報告によると「新生児の誕生がせまると父親が森に入り、もっとも柔らかな樹皮を得るために真っすぐに伸びたイチジク属の若木を選び、その樹皮を剥いで水に浸した後に、象牙製の槌<ビーター>で叩いて小幅の帯状にのばしたものを産屋に投げ入れる」とある。アフリカのコンゴでは「象牙製」のビーターが使われているのだ。インドネシアの東ジャワのマジャパイト期の遺跡から見つかっている「鹿の角製」ビーターも、アフリカのコンゴでのように何か特別の用途がある樹皮布か樹皮紙を作るために使われたのだろうか?
  以下の写真の柄付きのビーターはコンゴ国立博物館展示の象牙製であるが市川氏の報告の用途と同じものか不明である。小振りの東ジャワの鹿の角製のビーターには、ブロンズ製ビーター同様の取っ手を差し込む穴が穿かれている。f0148999_9491059.jpgf0148999_9492767.jpg

by PHILIA-kyoto | 2009-05-25 10:16 | 樹皮紙 紀行  

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