バリ島カマサンなどの伝統樹皮紙絵画復活へ

インドネシアで、ほぼ100年ぶりに伝統樹皮紙絵画復活

  インドネシアのジャワ島ではダルワンDaluwang(表記は種々ある)、バリ島ではウランタガUlantagaとよばれる樹皮紙Beaten Bark Paperに伝統絵画が古来より描かれてきたが、100年ほど前にキャンバスやコットン布の導入で途絶していた。

  絵画を描く素材となる樹皮紙の手掛かりを求めることから、復活作業は始まった。日本人研究者と学生らを中心とした約13年間の地道な文献および現地調査を経て、ジャワ島中部のガルートGarutに今もダルワンを作る1家族が居ることを確認でき、探索の大きな手掛かりとなったが、その製作する樹皮紙は、とても絵画素材に使える品質ではなかった。
そこで、良質な絵画用樹皮紙素材を入手するために、2つの方策を講じた。

  1つ目は、ガルートに近いバンドンBandungで、ガルートと同様の道具を使って、紙漉きを生業としていた若手アーティストに依頼し、良質な樹皮紙を復元する方策。

  2つ目は、今も樹皮布制作を続けている秘境地域の中部スラウェシで良質な生産品を探す方策。この中部スラウェシでの数回の旅により、崩壊寸前の伝統的な樹皮布/樹皮紙生産の実態が明らかになり、加えて前世代の婦人たちが制作したような均質で汚れなどのない良質な製品を作れる技術者がほとんど居なくなっていることも明らかとなった。
  そのため、何度も現地の村に入り、対話を重ねて試行を繰り返し、今回はアサさん(84歳)、イネさん(75歳)の二人が作った樹皮布/樹皮紙を、バリ島、ジャワ島での伝統絵画用の素材とした。

  バリ島カマサンKamasan Paintingおよびジャワ島のワヤンベベールWayang Beberのモティーフを描ける絵師の探索と選定には1年以上を費やし、訪問対話の上で試作を描いてもらうなどのプロセスを経て、今回の復活制作に臨んでもらった。

f0148999_10151430.jpg  カマサン様式の絵画(88x101cm)【画像上】が1枚。ジャワのワヤンベベールモティーフの絵画が5枚。6カ月の歳月を経て完成し、MonDecorで保存に留意した額装を行った。インドネシアの未来に残る伝統絵画が形となり、復活したことは喜ばしい。2011年2月のことであった。
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by PHILIA-kyoto | 2011-03-11 10:26 | 樹皮紙・現地情報2011  

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