正倉院の紙より古い起源のポノロゴ・ペーパー

古代ジャワの不思議な紙を使った絵巻ワヤンベベル

  ユネスコの世界無形遺産として、2003年にワヤンが登録されました。日本のワヤン研究の第一人者である松本亮さんの説明によれば、インドネシアでのワヤンの最も古い形が、ワヤンベベルWayang Beberだとされています。ワヤンの歴史を知る上で非常に重要なのです。
  数百年間、世代交代を繰り返して継承され使用されてきた伝統スタイルのワヤンべベル絵巻用の最高品質のポノロゴ・ぺーパーPonologo Paperを作る高度な技術集団が、職業として成り立たず絶えてしまったのです。そのため、インドネシアに現存する2か所の村の伝統スタイルのポノロゴ・ペーパー製ワヤンベベルは、瀕死の状態まで劣化損傷が進んでしまい、まさに今後の修復作業や再生させていく上で壁にぶちあたっています。
  ポノロゴ・ペーパーは、樹皮紙ダルアンDaluangの中でも最高品質のもので、和紙などにも使われるカジノキの白皮を職人達がブロンズ製ビータ―で4mもの長さにまで叩き延ばし、その厚みは約0.07mmという現代のコピー用紙の約0.1mmよりもさらに薄く作られています。

  ワヤンベベル製作用の基礎技術が途絶えてしまっている状況に、カジノキや和紙が身近にある日本が貢献できると考え、2003年頃から日本で文化財修復を学ぶ若い方々らが支援活動を始めました。2007年には、NHK-BSのアジアクロスロードという番組で15分ほど活動が報道もされました。
(Daluang Bandung, Wayang Beber Pacitan by NHK - 2007
https://www.youtube.com/watch?v=gCS-B7Mdtgo参照)

  しかしながら、現在に伝わる昔のワヤンベベルそのものを調べれば調べるほど、失われたポノロゴ・ペーパーの製作技術、そしてセットで使われたであろう道具(Beater)等々についての、解けない謎が増えていき、支援活動は滞った。

  初期の伝統ワヤンベベル保存継承支援活動から15年程の歳月が過ぎ、2018年に新たな幸運というか、力強い追い風が支援活動に吹いてきた。2016年からワヤンベベルのフイールド調査を行っていたクロアチアの文化人類学を学んだ2人の若手や日本人ジャワ文化研究者、紙文化財修復家らがコアになって、新たな情報発信を行い、具体的、技術的に難局を克服していこうと、これまでみられなかったような挑戦が始まったのです。
  インドネシアの2つの村パチタンとウォノサリにしか現存が確認されていない伝統スタイルのワヤンベベルですが、オランダ・ライデンにもポノロゴ紙製のワヤンベベル6巻の現存が確認され、2018年5月に全6巻のコンディション調査が、タイミング良く参照画像のように日本人専門家により実施でき、技術的な情報を増やすことが出来たのです
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  相次いで奇跡的なことがあって、10年以上所在不明となっていた、プロカメラマンにより撮影された貴重なワヤンベベルのパチタンでの上演記録マスタービデオ14本が、新たな探索により発見され、運よく廃棄を免れ保全されることとなった。
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  ここでは多くを紹介できませんが、日々感動しワクワクするような事が、インドネシアでは続いています。

 *2018年8月18日9:30amに記事補足を追加した。



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by PHILIA-kyoto | 2018-08-14 15:49 | ワヤン・ベベル  

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