Palu被災現地レポート2018 ⑤

1.パル州立博物館収蔵品の被害状況
 
  ジャカルタを10月14日(日)午前5時にLion Airで発ち、パルMutiara SIS Aljufri空港に8時35分に到着。日本及びインドネシアで調達した支援物資を迎えの車に積み、まっすぐ州立博物館へ向かった。
  思い返すと、2004年のスマトラ沖大津波後にバンダアチェの空港に到着した際には、GAMとの交戦状態で外国人の入域禁止令が布告されていて、空港敷地内には重火器を携行した兵士たちが大勢いて戦車も数台見られた。また、アチェ州に施工されていたイスラム法(シャリア法)が実施されている事への緊張感が漂っていた。それに比べ、パル空港には、救援活動に従事する米空軍輸送機などが見えるものの、装甲車も兵士も見かけず、到着ロビー及び敷地内の様子は緊迫した雰囲気は無かった。空港から博物館へ向かう道路沿いも、日中なのに屋台や店舗が軒並み営業していな、衝撃と悲しみにい事が目立つくらいで、人通りも交通量も普段通りだった。よく見ていると交通信号が消えている交差点が時々あり、運転手が「まだ電気供給が復旧していない地域がある」とのこと。
  州立博物館で待っていてくれた副館長らと展示エリアや建物の外観被害を一緒に見て回った。広い敷地のため、全体が甚大な被害に遭っているわけではなく。帯状に被害のひどいところがあるように思えた。揺れはひどかった様で、壁や床に随所に亀裂や割れが見られたが倒壊したのは簡易の建物2棟、そして展示棟ではコンクリート製支柱が折れたり天井パネルが落下する被害があったが、他は使用できるようであった。14日のの時点では、数か所の固定していない展示ケースが2-3m動いていることや、ケース内での展示品の破損が確認された程度で安堵していた。しかし、翌日の収蔵庫調査で、甚大な被害が発生していることが判明し、その場は衝撃と悲しみに包まれた。
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<収蔵庫画像撮影 坂本 勇>
  収蔵庫被害の外観写真を、副館長が全域で注意深く記録撮影し、次の復旧ステップを検討中だ。殊に収蔵品のなかで陶磁器の甚大な被害が画像のように目立っている。しかし、中部スラウェシの認知度は低く、なかなか復旧作業用資材や支援がが得られていない。そこで、スラウェシに縁のある人々が中心となって「つなぎ支援」を早急に届けようとしている。
 A.他の収蔵品損傷画像は、以下のURLで。http://npobook.join-us.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/10/sulawesi3.pdf  
 B.パルつなぎ支援募金は以下をご覧下さい。http://npobook.join-us.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/sulawesi4.pdf

2.インドネシア国立公文書館ANRI現地被害調査報告(概要)

  坂本氏の10月14-19日の現地調査に先行し、インドネシア国立公文書館の現地調査チーム(ANRI Task Force)が、以下の様に実施され概要がインドネシア語で届きました。Indonesian Heritage Association日本人メンバーの協力で邦文要約が為され、掲載します。

インドネシア国立公文書館被災調査チー厶(以下 tim ANRI と省略)による中部スラウェシ被災状況報告:
   第一報 2018年10月8ー11日実施              
 1 中部スラウェシ州公文書館
   統計資料等、長びく余震により一部損傷  歴史関連資料の棚崩壊により床に落下  
   全体的には被害良好、ホールダーなど取替必  木製棚など主に地図保管エリアにカビ発生
   AC、除湿器必要
   国家の重要歴史資料を保護するため温度/湿度調節必要
 2 パル市公文書館
   保管資料安全  事務所活動、近辺の火災により困難  地震・津波発生日の夜間に事務所に置いてあった重要ノートパソコンが盗まれた(ここ数年のデジタル化データが納められていた)。
   AC、除湿器、資料保護のため 設置必要
   地方自治体に上記必要性伝達  町中心部から、より安全な場所への事務所移転も考慮
 3 地方災害官吏局(BPBD)
   中部スラウェシ地方自治体とtim ANRIとの連携を緊密に   
 4 国家災害官吏局(BNPB)
   中部スラウェシ地方自治体とtimANRIとの連携緊密に
   国家災害官吏局にtim ANRIから 常に詳細な報告を行い、交通情報 等にも役立てる
 5 中部スラウェシTVRI放映局
   職員出勤不可のため、tim ANRI面会不可
   建物一部崩壊 具体的被害状況把握不可
 6 中部スラウェシ警察交通局
   建物、津波により崩壊
   tim ANRIとの協力によりブルドーザーなどを使用し、必要な避難活動開始
   被災復興センターが無かった為デジタルも含め、殆どの資料消失
 7 中部スラウェシ環境保護局
   震度5以上の余震により建物ほぼ崩壊
tim ANRI 建物内侵入不可
   人災は今のところ無い模様
 8 国家イスラ厶教協会IAINパル支部
   建物ほぼ崩壊
   資料内部にある可能性あるもtim ANRI侵入不可
   職員出勤不可
 9 中部スラウェシ教育文化庭園
   庭園近辺に近づく事不可
   瓦礫、死体などの悪臭あり
   職員出勤不可の為、tim ANRI活動不可
 10 中部スラウェシ海洋漁業局
   比較的被害状況良好
   一部職員出勤活動開始  一部資料、水被害
   鐵製棚、汚れを取り安全な場所へ移し無事
   tim ANRI、より乾いた場所にて活動協力
   ホールダーなど一部被害 資料全体の整理依然不可
 11 中部スラウェシ土地官吏局(BPN)
   建物一部ヒビ割れ 資料安全
以上

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by PHILIA-kyoto | 2018-11-04 21:32 | 中部スラウェシ地震・津波・液状化災害20  

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