カテゴリ:紙の科学( 1 )

 

豊かな「紙の科学Science of Paper 」を求めて

「紙の科学」をもっと豊かに!!

今回は、少し難しいが未来への夢の表明だ。
世界各地の樹皮紙を調べていて、もっと「紙の魅力」「紙の奥深さ」を広げなければならない、と思う。

  一般に、現在の「紙の科学Science of Paper」とは製紙のための技術的な学問であったり、紙の物性を探求する程度に留まっている。その添え物のように製紙の歴史も取り上げられているが、非常に薄っぺらな内容だ。
紙に深く関わる「アート」「造形」「修復」「伝統工芸」などの諸分野があるが、恐竜を追いかける古生物学者のような夢を抱きチャレンジする人々は見かけない。
  「紙」は夢を抱いてチャレンジする内容のない、静的で魅力の少ない世界なのだろうか?

  いいや、そうではない。
  古代からの「紙」はダイナミックで、恐竜を追いかけるように謎に満ちた、ロマンあふれる対象なのだ。その魅力を、今まで引き出せていないだけだ。

  古代の「紙の起源」と推定される「樹皮紙Beaten bark paper」のことは、古代世界の歴史に深く埋もれてしまっている。
  
  インドネシア・スラウェシNapu渓谷の樹皮布/樹皮紙に、「透かし模様」を入れる石器ビーターの存在や老人たちの記憶は、どんな未来のロマンを引き出すのだろうか?

  バリ島のヒンドゥー教徒たちが歴史にとどめる「樹皮紙Ulantaga」は、どこに起源を有するのだろうか?

  オーストロネシア語族に深く関係すると考えられる、樹皮布製作用の現存最古とされる7000年前頃の石器ビーターが、以下の記事に見られるように香港島付近で見つかっているが、中国大陸での古代における樹皮紙の使用状況や、今に痕跡をとどめる習俗などは残っていないのであろうか? 
参考:The earliest archaeological evidence for bark-cloth production is from coastal Neolithic sites in the Pearl River delta region of southeast China (Figure 2). During the 1985 excavations, archaeologists from the Shenzhen Museum(1990, 1991) recovered 14 stone beaters in the basal layers of the site of Xiantouling.The first reports dated the site between c. 4500 and 3700 BC, but recent radiocarbon dates from the fifth season of excavations push the date back to 5000 BC(Shenzhen Museum 2007).The beaters were not isolated finds; the same tool types were recovered from an additional 10 archaeological sites in the region, including the site of Dahuangsha, which has a calibrated radiocarbon age of 4680–3870 BC (Chan Hing-Wah in Shenzhen Museum 1993:Table 1). Not only are the Xiantouling finds the earliest barkcloth beaters in the archaeological record, they also form the largest assemblage of prehistoric beaters found at a single site. The concentration of early forms in this region is significant from an ‘origin’ perspective, since the coastal Neolithic of South China has long been linked to early population movements into Island Southeast Asia (Chang 1964, 1977; Bellwood 1979; Higham 2003). by Cameron


  古代の「樹皮紙」は、現代人が考える以上に技術的に高度で、美しいものであった、と思われる。

  ダイナミックで未来に夢を抱かせる「紙の科学」に発展させていきたい。


  
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by PHILIA-kyoto | 2010-01-21 20:52 | 紙の科学