カテゴリ:ワヤン・ベベル( 4 )

 

歴史上初めて樹皮紙絵巻Wayang Beberの製作時期が明らかに

歴史上初めて樹皮紙絵巻Wayang Beberの製作時期が科学的に明らかに !!

  今では世界に3か所しか現存が知られていないカジノキ樹皮を用いた絵巻Wayang beberの製作時期について、諸説が出されてきた。最近では、クロアチアの2人の文化人類学者が以下のような見解を出していた。
  「歴史家ラデン・マス・サイドによると、パチタンの6巻から成るジョコ・クンバン・クニンの物語の絵巻ワヤンベベルは、17世紀末に Sunan Mangkurat II王により注文され製作された。そしてウォノサリの絵巻ワヤンベベルは、Sunan Paku Buwono II王の下で18世紀初めに製作された」と。そして現在の2つの村に継承されるに至った経緯が、膨大な先行調査研究の文献や史料を読み込みインタビューを行い、たどりついた成果として記された。

  それらの先行文献調査研究に対し、日本側の保存修復支援チームでは科学調査研究の実現に尽力してきた。

  この時点で、放射性炭素年代測定法を用い明らかになった事をテスト値であるがお知らせしておく。世界の異なる2か所からの試料は、ほぼ似た14-17世紀の製作時期を示した。これまで、科学的根拠に欠くWayang Beber製作時期の調査研究しか無かったのに対し、やっと放射性炭素年代測定結果に基づくデータが得られたのだ。
  夢のようであり画期的なことだ。 以下は、テスト値と同時に公表された説明である。
  Radiocarbon dating of the beaten bark cloth/papermaterials as Tapa was conducted at Laboratory of Radiocarbon dating,The University Museum, The University of Tokyo (LRD.UMUT). Thesamples were treated with ultrasonic cleaning and Acid-Base-Acidmethod for removing contaminants, and then converted to graphitetargets using a graphite preparation system at LRD.UMUT. Since recent accelerator mass spectrometry are measurable from 1 mg to 0.1 mg of graphite, age determination of minimal sample fragments is possible. Trial experimental results fell into the range of the 14th-17th century AD.
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  日本側の数人の努力で樹皮紙Beaten Bark素材のDNA分析や放射性炭素年代測定が実施されてきた。今後、実施事例が増え、学術調査研究が本格化していくことが願われる。

<画像は、厚さ0.07mmほどの透けるような樹皮紙Beaten barkを用いたWayang Beber絵巻>

  さらに測定データの誤差が縮まると思われる本測定の結果は、以下の機関により2018年12月7日にロンドンのKew植物園で開催される「Conservation of Barkcloth Material:One day symposium on the conservation of barkcloth from any part of the world 」で報告される予定である。乞うご期待!!
Arts & Humanities Research Council University of Glasgow Royal Botanic Gardens, Kew Smithsonian Institution National Museum of Natural History
**本投稿のレイアウト等を、2018年9月23日15:30に変更した。」
  


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by PHILIA-kyoto | 2018-09-22 18:18 | ワヤン・ベベル  

樹皮紙製絵巻Wayang Beberの保存修復支援は続く

ジャカルタWayang博物館での支援活動公開ギャザリング

  ユネスコの世界無形遺産として登録されたインドネシアの伝統芸能ワヤンの中で最も古い源流に位置し、芸能性と共にその絵巻自体に秘められた儀礼性、神聖性が注目される絵巻ワヤンベベル。
  今や、オランダのライデン国立民族学博物館とインドネシアの2か所の村パチタンとウォノサリの世界3か所にしか現存が確認されていない、非常に希少な歴史遺産となっている。
 その歴史については、様々な先行調査研究があるが、どうも間接的な史料や伝聞によるものが多く、精彩を欠く印象が強い。
  2002-3年に吉備国際大学文化財修復国際協力学科留学生であったTeguh Sehanuddinさんにより、モノ自体にフォーカスしたワヤンベベル絵巻及び絵巻素材のダルアン樹皮紙(最新の調査研究では、ワヤンベベル用にはダルアン紙の中でも最高級品質のポノロゴ紙が使われた、とする)に関する画期的なフイールド調査が実施され、2004年にIdentifikasi Naskah dan Kertas Dluwangと題しまとめられた。
  今次の国際交流基金アジアセンター助成では、学術科学的な調査研究とアート芸術的な領域との”はざま”を橋渡しし、世界最高峰の技術と美しさ、そしてリチュアルな面を残してきたワヤンべベルの総合的な保存継承を支援していくとしている。
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  2018年9月28日にジャカルタWayang博物館において、3時半からバンドン・ダゴから来てくれたMufidさんと仲間達のダルアンdaluang製作実演と彼の創業から11年間の活動記録展、4時からギャザリング開催呼びかけ人の坂本勇さんから開催趣旨の説明、ユネスコ・インドネシア事務所の千葉萌絵さん、Mufidさんの製作に込めるメッセ―ジ、国際交流基金ジャカルタ事務所スタッフで坂本さんの20年前の樹皮紙調査にも同行したDianaさん、ワヤン博物館Esti館長の挨拶。その後2006年日本チーム製作ワヤンベベルPacitan記録ダイジェスト版ビデオ上映(当時のマスター撮影カセットが、今となっては非常に貴重となった事から、インドネシアで12年振りに大探索となった)。
会の様子は以下参照。
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by PHILIA-kyoto | 2018-09-19 00:15 | ワヤン・ベベル  

ワヤンベベル絵巻保全支援活動リーフレット

2018年7月インドネシアで開催されたパンジーフェスティバル行事で配布されたリーフレット(英語版)

  ポノロゴ紙を用いて昔々に作られたワヤンベベル絵巻は、絵巻の背後から光を照らして透過すると、漉けるような約0.07mmの薄さを確認できる。リーフレットの上部の背景画像は、透過光で見た約1mm格子状のビータ―の痕跡です。国際交流基金アジアセンター助成で行われている事業であることや日本の支援内容が書かれています。インドネシア語版も配布されていた。
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*リーフレットで紹介された内容などが、KOMPASIANAの以下のURLDjuliantoSusantio により「PelestarianWayang Beber Jawa Dibantu Jepang dan Kroasia」と題して投稿が載った。

https://www.kompasiana.com/djuliantosusantio/5b4695faab12ae251010deb2/pelestarian-wayang-beber-jawa-dibantu-jepang-dan-kroasia




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by PHILIA-kyoto | 2018-08-19 10:10 | ワヤン・ベベル  

正倉院の紙より古い起源のポノロゴ・ペーパー

古代ジャワの不思議な紙を使った絵巻ワヤンベベル

  ユネスコの世界無形遺産として、2003年にワヤンが登録されました。日本のワヤン研究の第一人者である松本亮さんの説明によれば、インドネシアでのワヤンの最も古い形が、ワヤンベベルWayang Beberだとされています。ワヤンの歴史を知る上で非常に重要なのです。
  数百年間、世代交代を繰り返して継承され使用されてきた伝統スタイルのワヤンべベル絵巻用の最高品質のポノロゴ・ぺーパーPonologo Paperを作る高度な技術集団が、職業として成り立たず絶えてしまったのです。そのため、インドネシアに現存する2か所の村の伝統スタイルのポノロゴ・ペーパー製ワヤンベベルは、瀕死の状態まで劣化損傷が進んでしまい、まさに今後の修復作業や再生させていく上で壁にぶちあたっています。
  ポノロゴ・ペーパーは、樹皮紙ダルアンDaluangの中でも最高品質のもので、和紙などにも使われるカジノキの白皮を職人達がブロンズ製ビータ―で4mもの長さにまで叩き延ばし、その厚みは約0.07mmという現代のコピー用紙の約0.1mmよりもさらに薄く作られています。

  ワヤンベベル製作用の基礎技術が途絶えてしまっている状況に、カジノキや和紙が身近にある日本が貢献できると考え、2003年頃から日本で文化財修復を学ぶ若い方々らが支援活動を始めました。2007年には、NHK-BSのアジアクロスロードという番組で15分ほど活動が報道もされました。
(Daluang Bandung, Wayang Beber Pacitan by NHK - 2007
https://www.youtube.com/watch?v=gCS-B7Mdtgo参照)

  しかしながら、現在に伝わる昔のワヤンベベルそのものを調べれば調べるほど、失われたポノロゴ・ペーパーの製作技術、そしてセットで使われたであろう道具(Beater)等々についての、解けない謎が増えていき、支援活動は滞った。

  初期の伝統ワヤンベベル保存継承支援活動から15年程の歳月が過ぎ、2018年に新たな幸運というか、力強い追い風が支援活動に吹いてきた。2016年からワヤンベベルのフイールド調査を行っていたクロアチアの文化人類学を学んだ2人の若手や日本人ジャワ文化研究者、紙文化財修復家らがコアになって、新たな情報発信を行い、具体的、技術的に難局を克服していこうと、これまでみられなかったような挑戦が始まったのです。
  インドネシアの2つの村パチタンとウォノサリにしか現存が確認されていない伝統スタイルのワヤンベベルですが、オランダ・ライデンにもポノロゴ紙製のワヤンベベル6巻の現存が確認され、2018年5月に全6巻のコンディション調査が、タイミング良く参照画像のように日本人専門家により実施でき、技術的な情報を増やすことが出来たのです
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  相次いで奇跡的なことがあって、10年以上所在不明となっていた、プロカメラマンにより撮影された貴重なワヤンベベルのパチタンでの上演記録マスタービデオ14本が、新たな探索により発見され、運よく廃棄を免れ保全されることとなった。
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  ここでは多くを紹介できませんが、日々感動しワクワクするような事が、インドネシアでは続いています。

 *2018年8月18日9:30amに記事補足を追加した。



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by PHILIA-kyoto | 2018-08-14 15:49 | ワヤン・ベベル