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新発見!!! 中国南部でも透かし模様加工用の石器ビータ

発見増える!! 透かし模様water-mark用の石器ビータ

  服飾史の知見では、古代世界では布や樹皮に「模様を描く」「図柄をプリントする」「織って模様を入れる」というような、全て“反射光”で模様を認識するものであった。
  ところが、最近の調査研究によって、新石器時代頃に、現代の高度な偽札偽造防止用などで知られる”透過光“で認識するという「透かし模様water-mark」がすでに発想され、使われていた痕跡が世界各地で見つかってきた。

  古代メキシコ(Mexico)、中部スラウェシ(Indonesia)での報告事例に続き、最新情報ではマカオ近くの中国南部の遺跡からも発見!!のニュース。
  実見したところ、メキシコ、スラウェシ同様に、石器にラタンなどで取っ手(handle)をつけられる溝が石器周囲に刻まれており、明らかに「打ち叩く」用途であったことが確認できる。4000年前頃の出土品との事。新発見の中国の模様も、一般的な樹皮を打解するためのものではなく、神秘的な透かし模様を樹皮の表面に最終段階で加工するためのものとみられる(画像参照)。f0148999_12272482.jpg


  新発見の不思議な模様の石器表面には、さらに不思議な「赤い顔料」が丁寧に筋状に塗られており、何かの聖なる儀式に使われた様相が推測できる。

  次々と、透過光でしか認識できないような高度な透かし模様技法が、メキシコ、インドネシア、中国南部で報告されるようになり、他の地域での報告事例が増えていくことが期待される。
  特に、樹皮表面に透過光でしか確認できないような透かし模様を加工するには、使用する樹種がカジノキ(Broussonetia papyrifera vent.)のような樹皮が白くて扱いやすいものでなければならず、カジノキのように世界各地に運ばれ拡散していった樹種のDNA分析などによる調査研究成果が期待される。
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by PHILIA-kyoto | 2012-05-30 12:36 | オーストロネシアン研究  

スラウェシ探訪記(速報版) ⑤

遅すぎた発見

  クロイト(A.C.Kruyt)の残した手がかりを用いて、新たにオーストロネシア語族の移動時代、新石器時代にまで遡って、樹皮布に「透かし模様Water-mark」を加工する技術の、過去から現在に至る「線」をスラウェシで発見できた成果は大きい。

 しかし、無念さも大きい。 その理由は最後に書く。
   
 8月2日発見日の当初予定は、全員スラウェシで最も大きな4.5mの巨石立像の見られるPalindoに向かうものであった。その地に向かうためには竹の筏での渡河が必要であったが、数日来の大雨で竹筏が壊れ、徒歩で胸まで水に浸かって河を渡る方法しかなかった。協議の結果、考古担当の男性3人は、歩いてPalindoに向かうこととなり、日本人と女性隊員は渡河を断念しこの地域でのカジノキの生息状況と樹皮布製作者の調査を行うことに変更した。だが、宿舎のあるTentenaに戻るためには、道路が悪く非常に危険なためドライバーと交渉し、11:30amまでに当地を出発し帰路につかなければならないこととなった。考古部門の隊員も、カジノキ調査の隊員も、使える時間は限られていた。

  庭先のカジノキの有無を調査しながら一軒の家を訪問。そして、カジノキの写真を見せて有無を確認したところ、身振りも交え、庭先で待っていろ!遠くの場所からカジノキを取ってくる、と説明しているようでった。庭先のベンチに腰掛けさせられ、家の主らしき人は腰に山刀をぶらさげて、山の方に走っていった。

  直感的に何かが走り、ベンチに腰掛けていたが、彼を追って山に走っていた。彼を見失うまいと必死で追いかけて走った。しかし、彼の身のこなしはすばやく、見失っていた。 
 必死に行方を追っていると山の畑でカジノキを切っている彼が居るではないか。ここにも若いカジノキが数本植えられていた。彼は、いろいろ説明してくれるが、よく説明が分らない。彼は実物で説明を試みようとしたらしく、ひとつの建物に連れて行き、布に包んだ数本のビータを広げて見せ始めた。f0148999_12273282.jpg

 アッ!! ビータの表面に模様がある!! 一本の石製ビータに、まぎれも無く捜し求めていた特殊な模様が刻まれていた。 残念ながら詳しいことを知る老婆は遠い山仕事に出ていて、夕方まで戻らない、とのこと。すでに我々の車の出発時間も迫っていた。残念ながら、これ以上の情報収集は出来なかった。 
  午前11時半。考古学担当の面々も興奮して、渡河の様子や、4.5mの巨石立像の美しさ、素晴らしさを話していた。 
  Tentenaに戻る帰路、後ろ髪を引かれる思いであったが、撮影機材のバッテリーもゼロになり電気の通っていないこの地域では充電できず、また明日からの予定もびっしり詰まっているため、戻らざるを得なかった。

  Hotelに戻り、後ろ髪を引かれる思いを隊員たちに話したが、全員の協議で、危険で苦痛のひどい山道を再び戻ることに全員反対。しかし、彼らは何かを感じたのだろう。絶対にNo!って言っていたが、「おまえひとりで苦痛に耐えて、無事帰ってこれる気力があるなら、ガイドを付けて行くことを了承しよう」「Torajaで無事に再会しよう」と許してくれた。

  翌朝、生憎の小雨。前夜予約していた車は、危険だと言ってキャンセル。日曜礼拝の終わる10時まで待って、再度ジープを探すために、ガイド達は町に出て行った。雨がこのまま続くとすぐにガケ崩れが発生し、数日足止めとなってしまう。Trajaに先行したメンバーとも約束の日に合流できなくなる。危険の回避と情勢判断は、ひとりで行わなければならない。
  ガイドが一台のジープを見つけてきた。気圧計も低下していないことと、ドライバーが優秀だというガイドの説明で、孤独の出発。雨はまだ降り続いていた。

  幸運にも、峠をいくつか越えた頃から、空は快晴に。車はスピードを上げて走るが、ガケ崩れの箇所も多く、道はぬかるみ、木を渡した仮橋など危険な道路であることには変わらない。
  2時半に村に到着。ドライバーは遅くても3時にはここを出ないと危険だという。あと30分しかないではないか?? 天気を見て交渉し、4時が限界だが待とう。それを過ぎたら、この村に泊まらないと危険だ、との説明に合意。 
  急いで調査を進めなければならないが、調査の対象は老婆なので、「ゆったり」調査を開始。ひとりでビデオを撮影し、写真を撮り、ガイドに通訳してもらってインタヴュー。これは大変なことになった。

  残念ながら、多くの重要であった情報が忘れられ、継承されないで消えてしまっている印象だ。今回の多くの調査地で樹皮布製作者や長老を訪問したが、誰も「特殊な模様を加工する石製ビータIke Torahi」のことを知っている人には出会えなかった。

  今、目の前でインタヴューをしている老婆も、本来あったであろう貴重な情報を継承しておらず、思いつきのような答えしか返ってこなかった。ビータの文様はウナギの下半部だという。もう一本の側面の刻み模様は、他の人のビータと間違わないためだ、との説明。

  あと10年早くに訪れていたら、もっと正確で重要な情報に出会えたかもしれない。きっと祖母の世代までは継承された情報があったかもしれない。
 そんな無念さを感じながら、再度この地に戻ってこれた満足感を抱えて、夕日の迫りくる村を大急ぎで後にした。 チャレンジは続く。
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by PHILIA-kyoto | 2008-08-21 12:19 | スラウェシ探訪記(速報版)  

スラウェシ探訪記(速報版) ④

幻の樹皮布用ビータIke Torahi

  今回の調査の発端として、A.C.Kruytが1901年に学術誌に紹介し、その後100年以上Hans Lenzのメソ・アメリカの考古遺跡から発掘された1件の報告事例を除き、世界のどの場所からも報告事例のない樹皮布用の「透かし模様water-mark加工用石製ビータStone beater」について、<現在も使用している実例>と<新石器時代遺跡出土博物館収蔵石器>の、いずれもからそれぞれ探索していた実物を今回のフィールド調査で発見出来た。
 まさに、大砂丘から小さな一粒の真珠を見つけるような偶然と幸運に助けられた成果となった。 
 
  すでに服飾研究家らが紹介しているように、樹皮布(Bark Cloth/Tapa)などに、描画彩色、プリントするという表現手法が古代より世界各地で一般的であった。おそらく、スラウェシで古代より樹皮布に透かし模様が使用されていた、という報告はこれまでなかったであろう。f0148999_11282664.jpg

  だが、オーストロネシア語族の人々は、なぜ今から3500-2000年以上も前にスラウェシで、樹皮布に「透かし模様water-mark」を加工するという、高度で目立たない技法を生み出し、用いたのだろうか?

  また、ジャワのチルボン樹皮紙文書に特殊な透かし模様の事例があるが、樹皮紙にもその技法がどの程度採用されたのだろうか?
 
  そして、その類似した発想と技法が数千キロ離れたハワイに、そしてマヤ.アステカに、どのようにして渡り、使われたのだろうか?    
  
  解明すべき謎と課題は尽きない。

  ここでは以下の3点の画像を使用した。
  1.Lore Lindu地域の一軒の家で見つかった透かし模様加工用石製ビータStone    
    beater (現地名:Ike Torahi)
  2.上記1.のStone beaterを用いて、透かし模様water-markを即席に加工した
    樹皮布(透過光で撮影) 
  3.スラウェシの新石器時代遺跡から見つかった1.に酷似した模様のある石器

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by PHILIA-kyoto | 2008-08-21 11:43 | スラウェシ探訪記(速報版)